3ない運動とは?
バイクにおける「3ない運動」とは、高校生に対して「免許を取らせない・買わせない・運転させない」取り組みを学校教育の現場で行った運動のことです。
現在の視点から考えると少々奇妙に思える運動かもしれませんが、かつてオートバイといえば「不良の象徴」として見られている面がありました。
高校生がバイクの免許を取得して購入しようものなら、不良へと道を踏み外してしまうイメージが強く持たれていたのです。
そのため、PTAを中心に学校教育の現場においてこの「3ない運動」が盛んに実施されていました。
こうしたバイクに対する負のイメージは、1970年代~80年代によく見られた不良が登場する学園モノのテレビドラマなとで助長された面もあり、社会全体にバイクに対する拭い難い偏見が植え付けられていたと言えるでしょう。
3ない運動の歴史
その歴史は1970年代にさかのぼります。
先述したドラマの影響もありますし、逆に世間の「バイクを運転する高校生=不良」という先入観がドラマに反映された面もあるのでしょう。
それが学校教育の現場で、「3ない運動」として表面にあらわれたと言えます。
ただし、当時は暴走族が全国各地で活発な活動を行い地域社会と軋轢を起こしていたこともあり、バイクの負のイメージが必ずしも偏見だけで成り立っていたわけではないことも事実です。
PTAの親御さんからすると、「子どもがバイクに乗る=暴走族になる」といった心配もあったわけです。
特に運動が本格したのが80年代で、実際に全国高等学校PTA連合会では「3ない運動を推進する」という決議が正式に行われたこともあります。
しかし80年代後半から90年代に入る頃から、この活動そのものへの批判の声も高まるようになっています。
「そもそもバイクを取り上げるのではなく、正しい扱い方や危険性についてしっかり教えるのが本当の学校教育ではないか」という意見が、バイク愛好家やバイクメーカーからあがるようになったのです。
法律では16歳以上になればバイクの免許を取得することができるのに、大人の都合でそれを禁じるのは問題がある、という意見もありました。
2000年代になると、この運動への反発がさらに加速化しました。
最終的に2012年の全国高等学校PTA連合会において、「3ない運動」から「マナーアップ運動」へと衣替えすることが発表されたことで事実上の終焉を迎えました。
現在の状況は?
こうした経緯から現在では「昭和の遺物」という受け止められ方をすることも多いのですが、運動そのものは消滅していても学校が校則という形でバイクを禁止する例も見られます。
「高校生にバイクはふさわしくない」というイメージが、まだ完全には払拭されていない面があるのは事実です。
ただ一方で、高校生を対象にしたバイクの講習が行われるなど、かつと3ない運動を批判していた人たちが出張していた「ただしいバイク教育」が行われる環境も着実に増えてきています。